「SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル」を読んで

タイトルの通り、ソフトウェアエンジニアにとってのソフトスキルについての教科書的な本である。

SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル

SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル

Kindle版だと8000ページを超えるかなり濃厚な本なので、自分にとって印象に残った部分をかい摘んでいきたい。

第1部 キャリア築こう

広く浅くソフトウェアエンジニアのソフトスキルについて説明している。第9章の出世階段の上り方は、重要である一方、直接学ぶ機会が少ない領域である。社内政治の渡り歩き方などは企業で働く以上は避けて通れないものであり、ソフトウェアエンジニアが苦手とする部分のひとつではないだろうか。

導入の第1部として広く浅いこともあり非常に読みやすい内容であった。

第2部 自分を売り込め!

今後エンジニアとして生き残るためにも、自身のブランディングは重要であるのは明らかである。今後より一層人材の流動性が上がるならなおさらである。

内容的には第1部にあっても良い内容な気がするが、あえて部を分けたのは、この部がエンジニアにとって非常に重要なソフトスキルであるからであろう。なぜ自分を売り込む必要があるかを理解していない or 売り込む方法がわからないなら必読な部である。

第4部 生産性を高めよう

自分の生産性の低さには自分でもうんざりするくらいであった。本部で紹介されている生産性を高めるテクニックは確かに自分の生産性を変えてくれている。

第38章で説明されているポモドーロテクニックを使うようになり、私の生産性は仕事においてもプライベートにおいても向上したと思う。不思議なことにポモドーロテクニックで測定される25分間は本当に集中力が続く。

ポモドーロテクニックが定着してきたので、次は第37章で説明されている四半期計画・月次計画・週次計画を立てて、作業を進めることを次のターゲットにしたい。短期的なことを達成するにはポモドーロテクニックで十分だが、大きなことを達成するためにはやはり長期的な計画とそれのブレークダウンが必須だ。

第5部 お金に強くなろう

この第5部のお金の話と、続く第6部の体と健康の話は、かなり筆者の熱意が伝わってくる。伝えたい内容の総量とページの総量の比が明らかに他の章とは違う。

ここでは主に不動産投資の話に目を惹かれた。

私は金融商品への投資を行っている。米国の株式投資が主な対象だ。元々国内の不動産に将来性がないと思っているのと、流動性の低さから不動産投資は敬遠していたのだが、この本を読んで少し興味がでてきた。専門書ではないが、前述の私の否定的思いを覆す程の説得力がこの本にはあった。インフレに対する安定性や銀行貸付によりレバレッジなどがその中のいくつかである。

残念ながら不動産投資で結果的に成功している著者でも、そのエピソードを読むとかなりの失敗経験を積んでおり、やはり不動産投資は簡単なものではなさそうである。

かなりの勉強が必要そうに思えるが、著者の成功本リストにある不動産投資の本「The Millionare Real Estate Investor」は日本語訳がなさそうなのが残念である。

第6部 やっぱり、体が大事

健康は言うまでもなく大事であろう。筋肉が重要かと問われると答えに困るが、私自身も定期的にジムに通い体を鍛えている。健康のためでもあるが、カッコよくありたいという変なプライドと、あとは自分を律するためのルーチンとなっている。ジムに行き1時間のトレーニングを終えると、自分が素晴らしい生活を送っている聖人のような気がしてくる。少し言い過ぎだが、自分の生活を律するスイッチになっているので、これは今後も続けていきたい。

第7部 負けない心を鍛えよう

前半はややスピリチュアルな内容で、うさんくさい自己啓発本を読んでいるようだった。この部は成功本にある「人を動かす」などの別の自己啓発本を読むほうが良いように私は感じている。

ただし、第68章の「恋愛と人間関係」はぜひ読んでもらいたい。まだ結婚していないとは言え、私はソフトウェアエンジニアとして恋愛に成功した方の人間だと思う。そんな私が思うのは、ソフトウェアエンジニアは恋愛が下手すぎる。

筆者も恋愛を数のゲームと言っているが、私はそれに100%同意する。個人的には多くのソフトウェアエンジニアがその数のゲームに参加できずに、1人の天使を追い求めすぎている気がしている。Tinderなどのサービスも増え、非常に数のゲームに参加しやすい環境になっているので、もし少しでも恋愛でも成功を収めたいなら、そういった形で数のゲームに参加することをおすすめする。実は私の彼女もTinderで知り合った女性だ。

第70章の「失敗に正面からぶつかれ」は、個人的にかなり刺さった部分である。自分は非常に失敗に臆病である。ひとつの失敗を犯すと、この世で生きる場所を失うのではないか、と錯覚する程に臆病である。よほどのことをしない限り失敗では死なない(生命的にも社会的も)。なので、今後は失敗にぶつかっていく程度の心構えで行こうと思う。

まとめ

かい摘んだつもりだったが長くなってしまった。かなりボリュームがあるので、途中で読むのがめげそうになる人も多いと思うので、目次や章立てを見て興味がありそうな内容から読み進めるのが良さそうである。特に5, 6, 7は筆者の思いもあってから濃厚な内容になっている。これらを本書の最後の方に持ってきたところに著者のささやかな優しさを感じる。笑

網羅的なないようなので、この本で特定の領域に興味が出てきたら、それぞれの専門書でそれらを深く掘り下げるのが良さそうである。とりあえず、不動産投資始めてみようかな。